「四六時中不安というお前の感覚が分からん」
知り合いにそう言われたので、
「24時間365日お化け屋敷を一人進んでいる感覚だ」
と答えた後で、なかなか的を射た表現じゃないかと自画自賛した。
殺されることはない、と分かっていてもお化け屋敷を進むのは怖い。心臓が苦しくなる。胸にピリピリしたものがこみ上げてくる。それが日常生活に起こっている。
抗不安薬はお化け屋敷の電灯のスイッチだ。若干ではあるが周囲を見渡すことができるようになる。しかし不安は完全には治まらない。
抗不安薬を飲めば不安はたちどころに消えるのだろうと思っている健常者は意外と居るようだけれども、実際はそんなことはない。